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#8 NISAとiDeCoどっちを先に始める?

投資

投資を始めようと決意したとき、誰もが耳にするのが「NISA」と「iDeCo」という二つの強力な税制優遇制度です。「どちらがお得なのか」「両方やるべきなのか」と、その選択で立ち止まってしまう方は少なくありません。私も、自由な人生を目指して資産形成を始めた当初、この二つの制度の役割分担を明確にすることから始めました。この記事では、私たち会社員が、経済的な自立という目標に向けて、NISAとiDeCoをどのように使い分けるべきか、具体的なデータと論理に基づいた優先順位を解説します。


1. NISAとiDeCoの違い

非課税メリットの種類の違い(利益か、掛金か)

NISA(特に新NISAのつみたて投資枠)とiDeCoは、どちらも「税金が優遇される」制度ですが、その優遇の対象となるポイントが根本的に異なります。この違いを理解することが、適切な選択の第一歩です。

項目新NISAiDeCo(個人型確定拠出年金)
税制メリット投資で得た利益が非課税掛金が全額所得控除、利益も非課税
掛金控除なしあり(毎年の所得税・住民税が安くなる)

NISAは、投資で得られた収穫、つまり利益にかかる税金(約20%)をゼロにしてくれます。一方、iDeCoは、利益の非課税に加えて、投資に回した元手(掛金)がその年の所得から全額控除されるため、「今の税金」が安くなるという、非常に強力なメリットがあります。特に所得が多い人ほど、このiDeCoの節税効果は大きく、即効性が高い魅力的なメリットと言えます。

資金の流動性(引き出し制限)の決定的な差

NISAとiDeCoを比較する上で、私たち投資家にとって最も重要な違いは「資金の流動性」、つまり「いつでも引き出せるか」どうかです。これは、資産システムの柔軟性を示す重要な指標です。

  • 新NISA: 運用している資産を、必要な時にいつでも売却し、現金として引き出すことが可能です。特に新NISAでは、売却した元本分の非課税枠が翌年に復活するため、資金の使い道の自由度が非常に高いと言えます。
  • iDeCo: 制度の性質上、「原則60歳になるまで」は、積み立てたお金を途中で引き出すことができません。これは、老後資金を確実に作るための「強制貯蓄・強制ロック」機能です。

私たちは自由な人生を目指す過程で、住宅購入の頭金、キャリアチェンジのための資金、早期リタイア後の生活費など、60歳以前にまとまったお金が必要になる可能性があります。その際、いつでも引き出せるNISAと、60歳まで引き出せないiDeCoという「流動性の差」が、どちらを優先すべきかを決める際の決定的な判断基準となります。

投資できる商品と運営管理費

投資対象となる商品については、NISAのつみたて投資枠もiDeCoも、金融庁が定めた厳しい基準をクリアした低コストの優良な投資信託が中心です。商品の選択肢に大きな差はありません。どちらも長期の資産形成に適した設計となっています。

ただし、iDeCoには、NISAにはない特有のコストが発生します。それが「運営管理手数料」です。これは、口座を開設し、年金制度として運用・管理してもらうために、国民年金基金連合会や運営管理機関(証券会社など)に毎月支払う手数料です。金融機関によって手数料は異なりますが、最低でも月数百円程度かかります。NISAは口座の管理費がかからないことが一般的なため、iDeCoはNISAに比べて「ランニングコスト」が発生するという点を認識しておく必要があります。


2. 優先順位の考え方

大原則:「自由度の高い方」を優先する理由

NISAとiDeCo、どちらを優先すべきかという問いに対する、私たち資産形成世代が出すべき合理的な結論は、「まず新NISAを優先する」です。

その最大の理由は、やはり「資金の流動性」を最優先すべきだからです。私たちは60歳以降だけでなく、中期的な目標(早期リタイア、住宅購入など)のための資産も作らなければなりません。iDeCoのように60歳まで引き出しが制限される資金は、この中期的な目標達成には使えません。

NISAはいつでも引き出せるため、中期的な目標資金にも、突発的なライフイベントの出費にも柔軟に対応できます。まずは自由度の高いNISAの非課税枠を効率的に埋めていくことが、人生の選択肢を広げるための戦略的なスタートとなります。

生活防衛資金と緊急資金の確保

投資を始める前の大前提として、「生活防衛資金」の確保は譲れません。もしもの時に備え、生活費の6ヶ月〜1年分を安全性の高い銀行預金に残しておくことです。

この生活防衛資金が不足している状態で資金がロックされるiDeCoを始めてしまうのは、リスク管理の観点から避けるべきです。iDeCoは、緊急時でも現金化できないため、もし資金不足に陥った場合、生活が破綻する可能性があります。NISAであれば最悪の場合、含み益がある資産を売却して現金化する手段が残されます。

そのため、資産形成の進め方は、

  1. 生活防衛資金の確保
  2. 新NISAの積立開始
  3. 余剰資金をiDeCoの開始という順序で進めるのが、リスクを最小限に抑えた最も論理的で安全な方法です。

目標達成までの時間軸による選択

NISAとiDeCoの優先順位は、ご自身の目標とする時間軸によっても変わります。

  • 目標まで10〜20年程度(早期リタイア資金など): NISAを最優先。流動性があり、取り崩しが容易な資産が必要です。
  • 目標まで20年以上(純粋な老後資金): iDeCoの強力な節税メリットを享受する価値が上がります。所得控除による「確実なリターン」を長く受け取れるため、早期開始のメリットが増します。

例えば、40代でセミリタイアを目指す場合、その時に必要な資産はNISAで賄う必要があります。60歳以降に必要となる資金はiDeCoで準備する、といった明確な役割分担をすることで、どちらを優先すべきかという判断軸が確立されます。


3. 併用戦略

NISAとiDeCoを併用する「最強の節税・資産形成」

NISAとiDeCoは、どちらか一方しか利用できない制度ではなく、並行して利用することが可能です。両者を併用することは、現行の日本の制度において、最も効率的で最強の税制優遇戦略と言えます。

  • NISAの強み: 利益非課税と高い流動性(柔軟な資産形成)
  • iDeCoの強み: 掛金控除による節税(即効的な税負担軽減)と利益非課税(確実な老後資金)

特に、iDeCoの掛金控除は、所得税・住民税を直接軽減してくれるため、所得水準が高い会社員ほど節税効果が大きくなります。これは、投資の運用益とは別に、確定で得られる「節税益」です。

したがって、まずはNISAで積立を始め、もし毎月の投資額に余裕があり、かつ「今の税金を減らしたい」というニーズがあれば、iDeCoを追加で利用するのが「最強の併用戦略」となります。

効率的な掛け金の配分方法

NISAとiDeCoを併用する場合、資金配分は以下の論理に基づいて検討すると効率的です。

  1. NISAのつみたて投資枠(年間120万円)を埋められるか? → 埋めることを最優先する。これが早期リタイアや中期的な目標資金の土台となります。
  2. iDeCoの拠出上限額は? → 職業(会社員の場合、企業年金の有無などで異なる)に応じた上限額を確認する。
  3. 最終的な配分: NISA(流動性+非課税)をメインとし、残りの余裕資金のうち「60歳まで使わないと断言できる部分」をiDeCo(節税+非課税)に回す。

例えば、投資に回せる資金が月10万円の場合、NISAに8万円、iDeCoに2万円といった配分が考えられます。これは、中期的な目標資金(NISA)と、老後の確実な資金(iDeCo)を役割分担して、資金効率の良いシステムを構築する設計思想に基づいています。

制度改正がもたらす併用の容易さ

新NISA制度は、旧制度で複雑だった一般NISAとつみたてNISAの選択を不要にし、つみたて投資枠と成長投資枠の併用を可能にしました。これにより、NISA制度自体の柔軟性が格段に上がっています。

また、iDeCoについても、加入可能年齢が引き上げられるなど、制度がより柔軟になってきています。私たちは自分のライフステージに合わせて、iDeCoを「一時的に休止」したり、「増額・減額」したりといった調整がしやすくなっています。この制度の柔軟性を活かし、まずはNISAで投資に慣れてから、結婚や昇進などで所得が安定したタイミングでiDeCoの節税メリットを追加で取りに行く、という二段階の戦略が非常に有効です。


4. ライフプラン別の結論

独身・若手会社員向け(流動性重視の初期戦略)

  • 優先順位: 新NISA → iDeCo
  • 理由: この時期は、結婚資金、住宅購入の頭金、自己投資など、数年〜10年後に使う可能性のある大きな資金需要が多い時期です。60歳までロックされるiDeCoよりも、いつでも引き出せるNISAの流動性を最優先すべきです。
  • 具体的なアクション: まずはNISAのつみたて投資枠で、無理のない金額から自動積立を設定しましょう。余剰資金が多くなってきたら、NISAの枠をフル活用し、それでもまだ余裕がある場合にiDeCoを検討します。

結婚・子育て世代向け(控除メリットを最大限に)

  • 優先順位: NISA + iDeCoの積極併用
  • 理由: 収入が安定し、かつ扶養控除や支出増で、家計の資金計画が複雑になる時期です。また、所得も増えていることが多いため、iDeCoの「掛金控除」による節税効果が非常に大きくなります。
  • 具体的なアクション: NISAの枠を埋めつつ、iDeCoの拠出上限額いっぱいまで掛金を拠出することで、所得税・住民税を節約します。浮いた税金分をさらにNISAに回すという好循環を生み出し、家族の資産を効率的に増やしましょう。

40代以降・老後を見据えた戦略(iDeCo加速の検討)

  • 優先順位: iDeCoをNISAと並行して加速
  • 理由: 60歳まで時間が限られているため、iDeCoの強力な節税メリットを享受できる期間も限られます。また、老後資金の目標額も具体的に見えてくる時期です。
  • 具体的なアクション: 60歳まで残り20年を切っている場合、NISAと並行してiDeCoの拠出を積極的に行い、節税効果を最大限に享受しつつ、老後資金の不足分を急ピッチで埋めていくことが重要です。ただし、この時期でも生活防衛資金の確保は絶対条件です。

まとめ

NISAとiDeCoは、どちらか一方を選ぶものではなく、それぞれの強みを活かして併用することが、私たち会社員にとっての「最強の資産形成システム」です。

  • 大原則: まず「いつでも引き出せる」新NISAを優先して枠を埋める。
  • iDeCoの役割: 余裕資金で「今の税金を減らしつつ、確実な老後資金をロック」する。
  • 結論: 資金の流動性を確保しつつ、所得が増えるタイミングでiDeCoを併用することが、最も合理的で効率的です。

まずは今日、ネット証券でNISA口座の開設を申し込むことから始めて、自分にとって最適な資産形成のシステム構築を進めていきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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